紳士淑女の皆様、ご無沙汰しております。前回の投稿から久しく更新が滞っておりました。すみません。
今回は、前回のエッティンガーの名刺入れ以来の英国製品紹介です。
紹介するのは、英国のシューズブランド、ドクターマーチンのMade in EnglandシリーズよりMIE 3989 ブローグシューズ
2021年の12月に購入したので約3年程履いていますが、いい感じにエイジング(=経年変化)も進んで来ましたので、変化の具合もご紹介したいと思います。
購入検討中の方、ご興味ございましたら、是非最後まで読んでいただければと思います。

私の『MIE 3989 ブローグシューズ』経年変化
履き始めて約3年経った私のMIE 3989 ブローグシューズの状態を写真と共にご紹介します。
購入時期 | 2021年12月 |
使用頻度 | 週に1〜2回程度 |
使用用途 | 散歩、買い物など ※スポーツはしていない |
使用時天候 | 雨や雪は可能な限り避けて使用 |
メンテナンス頻度 | 2〜3ヶ月に一回 |
↓2021年12月に購入直後に撮ったまだ一度も履いていない状態の写真です。もちろん履きジワも無く、ピカピカです。
まだまだこの時は尻が青かった。

↓2024年10月の状態。これまでのケアの積み重ねが功を奏したのか、独特の光沢が出てきてます。


アッパー
アッパーは履き皺が良い感じについてきています。
まだアッパーで茶芯が露わになっている箇所はありません。
写真では分かりづらいですが、ドクターマーチンのアイコンである黄色いウェルトのステッチが汚れて来ています。
綿棒で綺麗にすることも可能ですが、この汚れ具合も好きなので、そのままにしています。

↓右足。テカっとしており、鋭い光を放っています。

↓左足。こっちは履きジワが粗く、光り方も優しい印象。

↓ベロの所が紐と擦れたことにより、茶芯が一部顕になっています。
今後も長年履き続けると他の部位もこんな感じになっていくのでしょう。

↓公式サイトはこちらから↓

ソール
↓つま先は少し減りが見られます。恐らく、私の歩き方があまり宜しくない。

↓踵の減りはほとんどなし。

↓裏側は両足共に若干の減りが見られますが、まだまだ大丈夫です。
因みに、写真だと分かりづらいですが、リフト(踵)の手前あたりに「MADE IN ENGLAND」の文字が書かれてます。


私の満足度
大満足です。
メンテナンスする毎に表情が少しずつ変わって行くのを観察するのが毎回楽しみです。
これからも大切に履き続けたいと思わせてくれる名品だと思います。
ドクターマーチン MIE 3989 ブローグシューズ
ブラックの3989 ブローグシューズは2種類販売されているのをご存知でしょうか。
それぞれ特徴が異なり、ますのでそれぞれポイントを抑えてご自身に最適な靴を選びましょう。
ふたつの『3989 ブローグシューズ』
ドクターマーチンには、現在ふたつの『3989 ブローグシューズ』が存在します。
ひとつは、ラオスまたはタイで製造されている3989 ブローグシューズ



「製造国が違うだけで何か違いがあるの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますので、続けて解説します。
モデル名は同じものの、以下の点がイングランド製とラオス・タイ製の3989 ブローグシューズとで大きく異なるポイントです。
- 皮革
- インソール
- 製造国
- 価格
因みに、靴の製法はマッケイ、グッドイヤーウェルト、セメントなど様々な製法が存在しますが、どちらも同じグッドイヤーウェルト製法で、製法の違いはありません。
MIE 3989 ブローグシューズ
MIE 3989 ブローグシューズの特徴はこんな感じ。
皮革
英国製は、QUILONレザーと呼ばれる茶芯のレザーを使用しています。穴飾り(メダリオン)など皮革の断面が見える場所をよく見ると断面が茶色くなっているのが分かります。
擦れたり、削れたりすると下地の茶色が出てくるのが特徴です。
また、一足ごとにいい意味で個体差があるようにも思えます。
私の所有するこのモデルも右と左で若干皮革の風合いが異なります。左足は柔らかい光り方をする一方、右足はもう少しギラっと光る感じ。
他にも何足かドクターマーチンを所有していますが、これはSMOOTHレザーでは見られなかった変化です。
きっと、なめし方や使用する革の部位でも違いがあるのでしょう。エイジングを重ねることであなただけの一足に育ってくれること間違えなしです。
「いつまでもぴかぴかに履きたい」という方にはおすすめできませんが、「経年変化を楽しみたい」という方には是非おすすめしたい特徴です。
インソール

インソールが剥き出し。
私はサイズの問題とそのまま履くと硬いので別売りのインソールを入れて履いています。
勝手な予想ですが、インソールを入れないで使い続けると材質的にボソボソと毛羽だって来そうな予感がします。
製造国
品名にMIE=Made in Englandと書いてあるので、それ以上の説明は不要かもしれませんが、イギリスのノーサンプトンで製造をしています。
世界の製造技術に差が無くなりつつある昨今では、製造国はほとんど精神的な意味しか持たないかもしれませんが、靴と言ったらやっぱりノーサンプトンを履いてみたいもの。
英国好きの私としては、気持ちが高まります。
価格
Made in Englandの方が価格設定が高くなっています。
2024年10月現在だと、ラオス・タイ製が26,400円に対し、イングランド製は38,500円で、その差12,100円。
その差に何を見出すかは紳士淑女の皆さま次第ではありますが、私個人としてはマーチンの本国のイギリス製であることやエイジングも楽しみたい派の人間なので、「まぁしょうがないか」といったところ。
価格が高いから良い、安いから悪いはでは無く、それぞれ特徴を活かすための素材や生産地を選んでいる結果の価格と理解。
3989 イエローステッチ ブローグ シューズ
3989 イエローステッチ ブローグ シューズの特徴はこんな感じ。
皮革
こちらはSMOOTHレザーを使用しています。
芯まで黒く染められているスムースレザーのメリットはなんと言ってもケアの手軽さと耐久性です。
また、茶芯のQUILONと異なり、擦れたり、削れたりしても表面の色が変わるということはありませんので、買った当時の色味が永く持続することが期待できます。
ケアの方法も拘らなければ、ステインリムーバーやマーチン純正のケアクリームひとつで事足ります(推奨しないが最悪乾拭きでも何とかなる)。
ケアは面倒だけど本格的な革靴を履きたいという方にとっては、非常に魅力的な逸品です。

SMOOTHレザーの3ホールも持っていますが、履きジワもよし、耐久性もよしでこっちも魅力が多いんだよなぁ。
インソール

レザーのフルインソールが敷かれています。
サイズが合わない、靴擦れが酷い等、特に問題が無ければ別売りのインソールを入れる必要は無いでしょう。
これはなかなか嬉しいポイントです。
製造国
タイまたはラオスで製造
価格
2024年10月現在、ドクターマーチン(Dr.Martens)の公式通販サイト
ブローグシューズはどんなシーンで使える?
「せっかく買った靴が想定していたシーンでNGだった」なんてことがあったら悲しいですよね。
こんなシーンはNG

式典や冠婚葬祭などフォーマルシーンでの使用は避けましょう。
理由は二つあります。
一つ目は、ブローグシューズであること。
ブローグシューズは、本来湿地を歩く際の足の蒸れを軽減するために穴が靴に開けられたことに由来するため、冠婚葬祭などのフォーマルな場での着用は推奨されていません。
フォーマルな場では、靴の装飾はストレートチップが基本です。
二つ目は、この靴が外羽根の靴であること。
外羽根の靴は、元々ハンティングなどのスポーツ向けの靴として作られたものです。
フォーマルな場では、内羽根の靴を履くのが相場とされています。
詰まるところ、フォーマルシーンの靴は、原則内羽根のストレートチップが基本。因みに、茶靴もマナー違反となります。

こんなシーンはOK

普段のお出かけをはじめ、オフィスカジュアル※やカジュアルシーンでの着用には最適な靴です。
上のNGな利用シーンの逆になりますが、カジュアル向けの用途ではブローグシューズはバッチリ決まります。
普段の買い物はもちろん、耐久性に優れたドクターマーチンの靴であれば、公園に出かける際や簡易的なアウトドアでも使えるでしょう。
ジャケパンスタイルやジーンズなどと合わせてもカッコよく履きこなせると思います。
つまり、プライベートシーンは基本問題なし!
※黄色いステッチなので、ドレッシーなかっちりしたスーツとは相性が悪いかも。
ドクターマーチンの基本情報
ブランドの歴史や文化との繋がり
ブランドの歴史

ドクターマーチンはイギリスの靴ブランドとして知られていますが、実はドイツが発祥の地です。
1945年に第二次世界大戦後のドイツにて、廃棄になった靴の材料を利用して靴を作ったクラウス・マルテンス博士が学友のヘルベルト・フランク博士と共同で独自の靴を作り始めたことに遡ります。
やがて靴ビジネスも軌道に乗り、1959年からはドイツ国外にも宣伝を開始します。
その宣伝を目にしたのが、1901年よりイギリスのノーサンプトンでワークブーツの製造をしていたグリッグス家のビル、レイ、コリンの三兄弟です。
彼らはマルテンスとフランクがドイツで開発したエアクッションソール(バウンシングソール)の特許を取得。
1960年4月1日にイングランドで生産が開始し、そこで作られ始めたのが現在でもラインナップにある1460 8ホールブーツです。
1990年代まではAirWair社(現在もマーチンの靴を製造中)とWhite社の2社体制で製造していましたが、この頃にWhite社が製造を中止。
2000年代に入るとイギリスでの製造を中止し、工場を中国やタイなどアジアへ移しました。
その後イングランド製が復刻し、現在に至ります。

White社製のドクターマーチンは今でも根強いファンがいるんだよね。
ドクターマーチンとサブカルチャー

製造開始当初は一足2ポンド(400円くらい)で買えるワーキングブーツとして郵便配達員や工場労働者に愛用されていました。
しかし突如、一部の英国の若者(スキンヘッズ達)が着用し始めると、英国ロックバンドのThe Whoのピート・タウンゼントやSex Pistolsのシド・ヴィシャスなどミュージックシーンでも愛用者が増加。
Vivienne Westwoodの創業者のヴィヴィアン・ウエストウッドと夫のマルコム・マクラーレンがプロデュースしたSex Pistolsは奇抜なVivienne Westwoodの衣装とドクターマーチンの靴の組み合わせでパンクファッションの火付け役にもなりました。
漫画NANAでもVivienne Westwoodとドクターマーチンがセットで多用されているのは、恐らくSex Pistolsから。
かくいう私もDr.MartensとVivienneWestwoodをかなりの頻度で組み合わせており、お気に入りのブランドです。
モデル名からその靴の歴史を知る
勘のいい方はお気づきかもしれませんが、ドクターマーチンのモデル名には規則があります。
例えば、『1460 8ホールブーツ』であれば『1460』は1960年4月1日の生産開始日を意味しています。
今回紹介するMIE 3989ブローグシューズは『3989』なので、1989年9月3日に生産開始ということになりますね。
イギリスをはじめヨーロッパではDD/MM/YYYYの順番で日時を表す。
他にも1490の10ホールブーツや定番の1461の3ホールシューズなど、歴史を読み解くことができるアイテムが多々ありますので、ホームページなどでカタログを眺めるのも楽しいですよ。

↓公式サイトはこちらから↓

まとめ
気になった方は是非試してみてください。どちらの3989も魅力満載の靴だと思います。
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