これまでジャガーから発売されたDセグメントは2車種、ジャガーX-typeとジャガーXE。今回はこの2車種を徹底比較していきます。様々な参考文献を調査をしてみたので、よかったら読んでみてください。
まずは両車の基本情報から!
まずは、基本情報を比べてみましょう。ジャガーがDセグメントのサルーンを発売し始めたのは、実は21世紀に入ってから。X-type紹介の記事で少し触れていますが、イアン・カラムもX-type Estate(ステーションワゴンモデル)のデザインに参画しています。
仕様で注目すべきは、XEとX-typeでは駆動方式と車体の材質が全く異なるとという点。この後、サスペンションやエンジンなど項目ごとに比較をしますが、この2要素が両車の性格を決定づけていると言っても過言ではないくらい。
それにしてもここ15年でクルマの値段上がりましたよね。多くは安全装備や排ガス対応による技術的なコストが上がっていることによるものだそう。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
コードネーム | X760 | X400 |
発売期間 | 2015年〜現在 | 2001〜2009年 |
デザイナー | イアン・カラム | ジェフ・ローソン その他 |
駆動方式 | FR, 4WD | FF, 4WD |
ボディ材質 | アルミニウム | スチール |
重量 | 1,660kg | 1,520kg |
定員 | 5人 | 5人 |
燃料 | ガソリン ディーゼル | ガソリン (欧州仕様ではディーゼル有り) |
製造工場 | ソリハル カッスルブロムウィッチ ライトンオンダンスモア | ヘイルウッド(リバプール近郊) |
新車価格 | 599万円〜 | 383万円〜 |
↓以前書いたX-type特集はこちら↓
XE・X-type比較 – ボディサイズ編
取り回しに影響するボディサイズと最小回転半径を比較していきましょう。サイズはX-typeの方がやや小さいという結果になりました。ここで意外なのがX-typeがFFなのに小回りが効くように設計されていること。FFはタイヤハウスを広く取ることが難しいため、最小回転半径が大きくなってしまう傾向がありますが、X-typeは意外にも健闘している印象です(足回り編でもこちらについて書いてます)。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
高さ | 1,415mm | 1,390〜1,430mm (’01-’08〜’08-’09) |
幅 | 1,850mm | 1,790mm |
長さ | 4,690mm | 4,672〜4,716mm (’01-’08〜’08-’09) |
最小回転半径 | 5.5m | 5.3m |
XE・X-type比較 – エンジン・馬力編
走りに関する比較です。ここでは条件を平等にするために、両車2リットルのガソリンエンジンで比較します(X-typeは正しくは2.1リットルなんだけどね…)。
XEに搭載されているのはジャガーファンが待ち望んでいた、ジャガーによるジャガーのためのエンジン「インジニウム」です。一方、X-typeに搭載されているのは、当時傘下に入っていたフォード社製のフォード・デュラテクV6をベースにした「AJ20」と呼ばれるV6エンジンです(実はポルシェの設計だったりコスワースの技術が入ったエンジン)。
XEは、アルミ化によって車両重量を軽量化出来たことにより、その分重量をエンジンや足回りに割けていることも進化の要因でしょう。トランスミッションの段数も8速となり、それをパドルシフトで操ることが出来、スポーツ走行の楽しみを最大限引き出しています。0-100km/hも申し分ない結果です。
X-typeの方は、スポーツ走行にはそこまで拘っておらず、足回り編で書いているように乗り心地を重視しているようです。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
エンジン名 | インジニウム(ジャガー製)* | AJ20(フォード製) |
トランスミッション | 8速AT | 5速AT |
パドルシフト | あり | なし |
排気量 | 1,997cc | 2,099cc |
エンジン仕様 | 直列4気筒ターボ | V型6気筒 |
最高馬力 | 250PS | 159PS |
最大トルク | 365Nm | 201Nm |
最高時速 | 249km/h | 205km/h |
0-100km/h | 6.5秒 | 10.8秒 |
XE・X-type比較 – 燃費編
燃費計測方式が異なる上に実燃費とは誤差があるため、あくまでも参考値として。X-typeは、実際に乗っていましたが、結構この数字に近い燃費でした。良いとは言えない数値ですよね。私はX-typeに乗るまで親の日産キューブを借りて乗っていましたが、X-typeに乗って初めて長距離ドライブに行った時は「どっかからガソリン漏れてるんじゃないか」って思うほど燃費の悪さに驚きました。
XEに乗っている方、実際のところ燃費について是非教えてください。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
燃費 | 12.9〜13.4km/L (JC08モード) | 7.4〜8.6km/L (10・15モード) |
XE・X-type比較 – 居住性・トランク編
ボディサイズが小さい割には、X-typeも頑張っている印象です。両車に共通して言われるのが後席のレッグルームが狭いこと。これは車体サイズからして仕方ないことではありますが、いつも大人3〜5名でお出掛けされる方は、ひとつ上のEセグメントのXFやS-typeまたは更に一回り大きいFセグメントのXJも要検討でしょう。
X-typeに乗っていた時に不思議に感じたのが、後席の中央あたりにプロペラシャフトのトンネルの盛上がりがあったこと。FFなので本来これは無いはずなのですが、恐らく4WDモデルと同じ型を使っていたためと思われます。XEはFRなので勿論プロペラシャフトのためのトンネルがあります。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
トランク容量 | 455リットル | 445リットル |
後席可倒 | 可 | 不可 |
ヘッドルーム (座面-天井) | 94cm | 96cm |
ショルダールーム (肩-窓) | 前:144cm 後:139cm | 前:138cm 後:136cm |
レッグルーム (背もたれ-足先) | 前:105cm 後: 89cm | 前:107cm 後: 87cm |
XE・X-type比較 – 足回り編
乗り心地の比較には、サスペンションを取り上げて比較することにします。
X-typeの方は、前輪にはコスト性能とスペース効率が高いストラット式のサスペンションを採用しています。これは前述のFFであるが故のタイヤハウスの制限を解消するための選択に見受けられます。後輪はジャガーの開発のマルチリンク式サスペンションの「トーションコントロールリンク」と呼ばれるサスペンションを採用。後輪にマルチリンクを採用することで防音性能向上を狙ったのかも知れませんね。
XEは、前輪には剛性に優れたダブルウィッシュボーン式を採用しています。部品点数が増えることにより、構造は複雑に、コストも上がりますが、より走行性能の向上を狙ったチョイスですね。後輪は、インテグラルリンク式のサスペンションで、こちらは走行性能と快適性に優れたサスペンションです。
X-typeは乗り心地、XEは運動性能と乗り心地の両立を目指した足回りとなっていました。
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
前輪 | ダブルウィッシュボーン | マクファーソンストラット |
後輪 | インテグラルリンク | トーションコントロールリンク (マルチリンク) |
XE・X-type比較 – 安全装備編
恐らくジャガーに限らず、どのメーカーでも約15年前と今の車種を比べたら安全装備はこんな結果になるはず。
「ほ〜、自動車の安全装備ってこんなに進歩したんだ」と思っていただければ。ただし、どんなに安全装備が充実しても運転ミスをすることはあるし、事故を貰ってしまうこともあります。皆さん、今日も安全運転で!
車種 | Jaguar XE | Jaguar X-type |
ソナー | ◯ | オプション |
レーンキープアシスト | ◯ | – |
横滑り防止装置 | ◯ | – |
ABS | オプション | ◯ |
衝突回避ブレーキ | – | – |
盗難防止装置 | ◯ | – |
トラクションコントロール | ◯ | – |
XE・X-type比較 – デザイン編 どちらも名車の系譜を受け継ぐ…
「あの丸目四灯であってこそジャガーだ」という方もいれば、「2008年の新型XKを発売したくらいからの新生ジャガーが好き」という方もおり、人それぞれです。私個人としては、今まで乗っていたX-typeも好きですし、いつかXEにも是非乗ってみたいと思っています。実際に今のXFを買う時に、XEも並行検討していたんですよね…
ぱっと見の全然デザインはXEとX-typeで異なりますが、よく見るとボンネット中央の膨らみはあのE-typeからの踏襲で共通していますし、両車ともフラッグシップモデルである各時代のXJをDセグメントのサイズで非常に上手く表現しているクルマだと思います。何だか親子みたいで微笑ましいですよね。
因みに私の別名の「子ジャガー」は、嫁氏の命名なのですが、それもここに由来してます。当時、病院勤務だった嫁がよく一緒にお仕事をさせて頂いていたお医者さんがXJに乗っており、当時まだ恋人でX-typeに乗っていた私と仲間内で区別するのに「大ジャガー」と「小ジャガー」と呼び分けていたらしい(ネーミングの着想合ってる)。XFに乗り換えても「中ジャガー」ではないんですよね…
XE・X-type比較 – まとめ
同じDセグメントにしても両車の性格が大きく異なることがお分かりいただけたのではないでしょうか。X-typeは、当時の「猫足」を再現したのに近いような乗り心地重視のクルマ。一方XEは、運動性能を高めた純スポーツサルーンなクルマ。若者市場へアプローチしたいのは両車同じだと思うのですが、デザイン・ブランドのコンセプト共に大きく変わったのを受けて、作るクルマの性質も変更されました。
個人的に今回調べていて興味深かったのは、X-typeのサスペンションと駆動方式の所。ジャガー社の当時の本音は、いくら考えても推測の域を出ることはありませんが「本当はV6を縦置にして、FRにしたかったはず」。それからデザインも。新旧XJとXE・X-typeの写真は、見ているだけで酒が進みます。
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